今回は女性の憧れの的であるジュエリーのハイブランドを国別にご紹介します。
国別に分けてみると歴史や文化、宝石に対する考え方などが宝石のデザインにも表れているようで、違った面白さがありますよ。
それではジュエリーブランドで巡る世界旅行へと出かけましょう。
フランス発のジュエリーブランド
フランスのジュエリーブランドには「伝統と格式」という言葉がとても似合います。
100年200年と続いているブランドも珍しくなく
日本では徳川家康が江戸幕府を開いて間もない頃に創業し400年以上続いているブランドもあるほど。
またフランスをはじめとしたヨーロッパの宝石ブランドはデザインに凝った作りが多い印象です。
①メレリオ・ディ・メレー(Mellerio dis Meller)
フランス最古の宝石ブランドメレリオ・ディ・メレーは、1613年イタリア出身のメレリオ家により創業されました。
1777年にヴェルサイユで経営していた時の顧客には
マリー・アントワネット、ナポレオンの妻ジョゼフィーヌ皇后などに愛され、ついにはフランス王室御用達に。
フランスだけではなく、イタリアやオーストリアの王室でも御用達になり
各国の王室の王冠(ティアラ)をはじめとしたジュエリーを作り続けています。
独自のメレリオカットを施したコレクションは宝石の輝きを最大限まで引き出すとされ、人気が高い逸品です。
②ショーメ(CHAUMET)
1780年に創業、もともと顧客には貴族が多かったのですが、1802年にナポレオン皇帝により王室御用達となりました。
ナポレオン皇帝は、戴冠式の時にショーメの宝飾品を身に着けて臨んだといいますから、どれほど惚れ込んでいたかがわかりますね。
フランス王室をはじめ世界的な文豪である「ヴィクトル・ユーゴーやマルセル・プルースト」なども
ショーメの顧客だったそうですし、ショーメの芸術的で美しいデザインのジュエリーは今も世界の王室やセレブ達に愛されています。
ショーメのコレクションではナポレオン皇帝の妻、ジョゼフィーヌ皇后をイメージしたジョゼフィーヌ・シリーズが有名です。
③カルティエ(Caltier)
カルティエといえばジュエリーよりも時計が有名ですが、そもそもは1874年に宝飾店としてスタートしました。
各国の王室がカルティエを御用達にしていますが、中でもイギリス国王エドワード7世は「王の宝石商。宝石商の王」という言葉でカルティエを讃えました。
今ではジュエリーにプラチナが使われるのは当たり前ですが、世界で初めてジュエリーにプラチナを使用したのがカルティエです。
カルティエで根強い人気が続いているアイテムにはそれぞれの輝きが美しい3連のトリニティリングやLOVEコレクションなどがあります。
④ブシュロン(Boucheron)
ブシュロンは世界でも屈指の高級宝石街フランス・ヴァンドーム広場で最初にオープンした宝飾店とされています。(諸説あります)
1858年の創業以降、各国の王室をはじめエディット・ピアフなども顧客でした。
宝石職人には彫刻家としても一流の腕前を持つ人が多く独創的で芸術性の高いジュエリーは世界中の人々を魅了しています。
またブシュロンにはエアリー・セッティング、ミラー・セッティング、モザイク・セッティングなど
数々のオリジナルなセッティング法があり、それらを活かしたキャトルコレクションをはじめ、
ブシュロンのジュエリーは現代アート的ですらあります。
*公式サイト
https://jp.boucheron.com/ja_jp/
⑤ヴァンクリーフ・アンド・アーペル(Van Cleef&Arpels)
ロマンチックなおとぎ話のようですが
ヴァンクリーフ・アンド・アーペルは1896年に、宝石研磨職人の息子ヴァンクリーフと宝石商の娘アーペルが結婚して生まれたジュエリーブランドです。
始まり方同様にブランドコンセプトもロマンチックな「愛・夢・美」となっています。
人気のコレクションは幸福の象徴・四葉のクローバーをモチーフにした
アルハンブラシリーズや雪の結晶をモチーフにしたスノーフレイクシリーズなどです。
なお1933年には爪などを見せずに宝石を留めるミステリー・セッティングで特許を取得。
高い技術力が自然を中心としたさまざまなモチーフのジュエリー製作を支えているのです。
アメリカ発のジュエリーブランド
アメリカでは婚約指輪を選ぶ際にいちばん重要視されるのが宝石の大きさ(ct)だと聞いたことがありますが本当でしょうか?
しかしながら確かにアメリカのジュエリーは全体的なデザインよりもまずは宝石の品質にこだわりが強いようです。
宝石を最大限に引き立たせるためのデザインスタイルが多い印象です。
⑥ティファニー(Tiffany&Co.)
いまさら説明の必要がないくらいに有名な宝石店ですね。
1837年に文房具などの雑貨店としてマンハッタンでスタートしたティファニー、1940年には代名詞ともいえるニューヨークの5番街に移転しました。
ティファニーの名を世界中に広めたのは1961年に公開された映画「ティファニーで朝食を」です。
オードリー・ヘップバーン演じる主人公が早朝のティファニーの前でウインドーを眺めながらパンを食べる姿はあまりにも印象的でした。
そしてティファニーといえばあのティファニーブルーのケースです。
創業者自らが考えたというティファニーブルーのケースは贈られて嬉しいプレゼントの象徴のようなものですよね。
さらに創業者が残したとされる「人生にティファニーを」という言葉もいまなお生き続けています。
創業年を刻印したティファニー1837コレクションシリーズ、1886年にティファニーが生み出した6本の立爪だけで石を留めるティファニー・セッティング
1940年に発表されたオープンハートシリーズなど、時代を超えて今も多くの女性の憧れであり続けています。
*公式サイト
https://www.tiffany.co.jp/
⑦ハリー・ウィンストン(HARRY・WINSTON)
最高級のダイヤモンドで作られる最高級ジュエリーは海外の有名セレブやハリウッドスター、日本の芸能界でも多くの愛用者がいることで有名ですよね。
そんなハリー・ウィンストンは1932年に宝石商だった父親の跡を継いだハリー・ウィンストンによってニューヨークの5番街に設立されました。
1943年のアカデミー賞授賞式には最優秀主演女優賞に輝いたジェニファー・ジョーンズに自社のジュエリーを貸与します。
以来「スターたちのジュエラー」として今もアカデミー賞のレッドカーペット上では
かならずハリー・ウィンストンのジュエリーを身に着けた女優たちの姿を見ることができます。
ところで創業者のハリー・ウィンストンは「キング・オブ・ダイヤモンド(ダイヤモンドの王様)」と呼ばれています。
それは長い年月の間に持ち主を不幸にするといわれてきた世界最大(45,52カラット)のブルーダイアモンド
別名「ホープ・ダイヤモンド」による影響を唯一受けなかった人物であることも一因のようです。
後にこのダイヤモンドはスミソニアン博物館に寄贈されていますが
この話はダイヤモンドに選ばれた人間=ハリー・ウィンストンという評判を広めたといいます。
ハリー・ウィンストンのジュエリーは芸術的なまでにダイヤモンドが美しく見えますが、その秘密は独特のセッティングにあります。
このセッティングで作られたクラスターコレクションはダイヤモンドの魅力を最大限感じられるジュエリーといえるでしょう。
イタリア発のジュエリーブランド
モードの国イタリアのジュエリーはイタリアンジュエリーとして知られ親しまれています。
古くからゴールドジュエリーの生産地であるイタリアのデザインは繊細でありながら大胆で個性が強い印象です。
宝石と組み合わせる地金のデザインも凝ったものが多く芸術品のような存在感があります。
⑧ブルガリ(BVLGARI)
1884年ギリシャ系イタリア人のソティリオ・ブルガリがローマに開いた
宝飾店がジュエリーの世界的ブランド・ブルガリの始まりです。
当初はフランス様式のデザインを採用していましたが
次第に古代ローマ様式やギリシャ建築様式を取り入れた独特なデザインや大胆な色使いのジュエリーが有名になり
ブルガリの名前は世界へと広がっていきます。
ブルガリには有名なコレクションがいくつもありますが代表的なコレクションといえばB-Zero1です。
イタリアのコロッセオにインスピレーションを受けて生まれたデザインだそうで、クラシックな感じと新しさが融合しているスタイルに魅了されます。
ブルガリの支店は世界中にありますが中でも世界最大の旗艦店が日本の銀座タワー店です。
ジュエリーの他にも時計や香水、バッグ、近年ではホテル事業やチョコレート業界へも参入しており
ブルガリというブランドはまだまだ拡大途中のようです。
⑨ダミアーニ(DAMIANI)
ダミアーニは1924年に創業、創業者のエンリコ・グラッシ・ダミアーニが作り出す
見事な細工が施されたジュエリーはすぐに王室やセレブの間で人気となり
今ではイタリアンジュエリーを代表するブランドのひとつです。
その後もイタリアらしいデザインとそれを形にする宝石職人たちの高い技術力で次々と最高級のジュエリーを生み出し続けています。
しかし、日本国内では店舗数が少ないこともあり、まだ日本での知名度はそれほど高くないようです。
ダミアーニは1976年から続く宝飾デザインコンテストのアカデミー賞ともいわれる
ダイヤモンド・インターナショナル・アワードを実に18回も受賞し続けています。
18回の受賞は欧米ブランドでは最多受賞回数であり、このことからもダミアーニのジュエリーのすばらしさがわかります。
ダミアーニのコレクションではさりげなくダイヤモンドを埋め込んだD.SIDEシリーズが結婚指輪としてとても人気があります。
また複数の宝石を大胆に組み合わせたハイジュエリーの個性的なスタイルはこれぞイタリアンジュエリーといった感じです。
日本発のジュエリーブランド
日本が世界に誇る宝石といえば真珠です。
世界最古の宝石といわれる真珠は「月のしずく」「人魚の涙」とも呼ばれ、遥か昔から多くの女性たちを虜にしてきました。
しかし真珠は火山などで形成されるほかの宝石と違い海で採れる偶然の産物です。
その真珠の養殖に世界で初めて成功したのが日本であり、真珠は日本を代表する宝石となりました。
⑩MIKIMOTO(ミキモト)
1893年世界で初めての真珠の養殖に成功したのがミキモト創業者の御木本幸吉です。
その後1899年銀座に御木本真珠店を出店、ロンドン、ニューヨーク、パリなど世界へと進出していきました。
1924年には宮内省御用達になり以来ミキモトは宮廷宝飾店の地位にあります。
1972年には社名をミキモトに変更、1986年には世界中のハイブランドが集まる
パリのヴァンドーム広場に出店し世界的なジュエリーブランドとしてミキモトは愛されています。
代名詞でもある真珠を使った「ミキモト・パール」コレクションは言うまでもありませんが
ブライダルジュエリーや真珠以外の優雅で繊細なジュエリーのラインナップも豊富です。
⑪TASAKI(タサキ)
1954年創業者の田崎俊作が神戸で真珠の養殖業を始めます。
1956年には田崎真珠商会を、1959年には田崎真珠(株)として事業を展開していきます。
1994年にはデビアス社のサイトホルダーを取得、2009年に現在の社名TASAKIに変更しました。
TASAKIは真珠の養殖・加工・販売を行うとともにダイヤモンド原石の研磨技術の向上にも早くから取り組んでいました。
高度なダイヤモンドの研磨技術はそれまで難しいとされていたダイヤモンドカットのExcellentクラスを量産させることになり
ダイヤモンド業界に多大な影響を与えました。
日本でただ1社だけのサイトホルダーとしてダイヤモンド原石の買い付けができるのも世界史高水準の技術と信頼があるからこそ。
革新的なデザインのジュエリーからオーソドクッスなジュエリーまで多彩なシリーズがあります。
日本らしい色合いが魅力的なサクラゴールドシリーズは
TASAKIでしか出会えない桜色のジュエリーとしてとても人気のあるシリーズです。
イギリス発のジュエリーブランド
イギリスでは常に流行は王室とともにあり、ロイヤルファミリーが愛用するものはたちどころに人々の間に広がります。
ジュエリーももちろん例外ではありません。
今回は王室とのつきあいが長いブランドの中から2つ紹介します。
⑫デビアス(De Beers)
デビアスはイギリスの政治家セシル・ジョン・ローズが1880年に当時支配下にあった南アフリカで設立した
世界最大のダイヤモンド鉱山会社で、原石の採掘から流通・販売までを一手に取り扱い一時は
世界のダイヤモンド産出量の90%ほどを占めていた大企業です。
その後2001年にLVMHグループと合併し新たに作られたハイジュエリーブランドがデビアスです。
社名が同じでややこしいですが、ダイヤモンドの価値をここまでに高めたデビアスが作り出すダイヤモンドジュエリーの数々は
さすがのひとことに尽きるクオリティです。
残念ながら日本の直営店舗は、2017年を最後に閉店してしまいましたが、オンラインショップや海外の店舗での購入はできますのでご安心を。
ところでイギリス王室が所持していた世界最大545,67ctのダイヤモンドはデビアス社の鉱山から採掘され献上されたものだったそうですよ。大きすぎて想像もつかないダイヤモンドですね。
*公式サイト
https://www.debeers.com/
⑬ガラード(Garrard)
ガラードはイギリス王室が長年愛用しているイギリスを代表するジュエリーブランドです。
1735年に銀細工師のジョージ・ウィックスがロンドンに開いた宝石店が始まりです。
1842年になると英国王室御用達に任命され、2007年までの160年ほどをクラウンジュエラーとして
宝飾品・銀製品の製作や管理などにたずさわりました。
しかし何といってもガラードの名を世界中に広めたのはロイヤルウエディングです。
チャールズ皇太子がダイアナ元妃に贈った婚約指輪こそガラードが製作した12ctのサファイアリングでした。
そしてダイアナ元妃が亡くなってから13年後、ガラードのリングは息子であるウィリアム王子から
キャサリン妃へのプロポーズの際にふたたび渡されたことで世界中の注目が集まりました。
このこともあってガラードのサファイヤはロイヤルジュエリーとして今でもとても人気があります。
スイス発のジュエリーブランド
スイスはジュエリーよりも精巧な高級腕時計を作り出してきた国、というイメージです。
その時計作りの高度な技術がジュエリーにも活かされた独創的なデザインのジュエリーはいまや時計と並ぶほどメジャーになりました。
⑭ショパール(CHOPARD)
ショパールは1860年にルイ・ニリス・ショパールによりスイスで創業されました。
当初は時計製作がメインでしたが3代目の時代になりジュエリーの分野にも進出し、ショパールの顔ともいえるジュエリーウォッチが誕生します。
またショパールの象徴であるハートとムービングダイヤモンドを組み合わせたコレクションは
女性なら誰もが魅入られるほどの美しさと可愛らしさが共存した人気のシリーズです。
ところでショパールはカンヌ国際映画祭のオフィシャル・パートナーであり、
あの有名なパルムドールのトロフィーを製作しているのもショパールです。
⑮ピアジェ(PIAGET)
ピアジェは1874年にスイスで時計師のジョルジュ・エドワード・ピアジェが開いた時計工房からスタートしました。
ギネスブックにも掲載された世界一薄いムーブメントを作り出した高度な技術力を生かしてジュエリーの製作も始めました。
時計製作で培われた高い技術はどんなに繊細なデザインでもジュエリーとして生み出し
高級時計・ジュエリーブランドとしてピアジェは世界中のセレブに愛されるようになります。
1990年に発表されたポセション・コレクションはフランス語で「所有」を意味し
愛する人に所有(する・される)という意味からウエディング・ジュエリーとしてとても人気の高いシリーズです。
ポセション・リングは二重になっているリングがくるくると回転するというものですが
さながら時計の部品を見ているようで面白いですね。
「世界的に有名なジュエリーブランド15選」まとめ
いかがでしたか?
世界的に有名なジュエリーブランドを国別に紹介してきましたが、やはりジュエリーにもお国柄が反映されているような気がしました。
お気に入りのブランドは見つかりましたか?